研究概要 |
搭載用のホスウィッチ型検出器に採用されている有機液体シンチレータと同じ材質で作製した2インチサイズのシンチレータを使い、粒子によるエネルギー損失が少ない構造のシンチレーション検出器を作製した。その検出器に、放医研サイクロトロンで加速された陽子ビーム(30,50,70MeV)を直接、検出器に入射させてシンチレータの発光量を、ガンマ線の発光量をベースにして計測した。陽子エネルギーと発光量との関係は従来の有機液体シンチレータとは異なるものであった。シンチレータ中での光の減衰を同様に陽子ビームで計測した。発光量は、シンチレータを伝播する間に10%弱の減衰があり、実験データより、これは光の反射によるものと推測できた。得られた発光量データを、計算コードに反映させることを検討している。完成した搭載用のホスウィッチ型検出器(試作器)を用いて、放医研サイクロトロン、HIMACで50-150MeV陽子ビーム、150MeVまでの連続エネルギー分布の中性子ビームを入射させ、検出器より得られた両粒子の信号の波形をデジタルオシロスコープで高速サンプリングした。作成した処理プログラムで得られた波形を処理して、陽子と中性子の識別能力を調べた。両波形にはトリガーから100nsec遅れた時間から、0-0.5Vの電圧範囲に違いを見出し、それをデータロガーの最適化に反映させている。周囲のシンチレータの影響は、簡易計算では、10%程度あることが分かり、周囲のシンチレータの寄与を計測可能な検出器を完成させた。モンテカルロコードMCNPXを用いた中性子検出器の応答関数の計算は、テスト計算を実施した。
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