研究概要 |
本年度の研究は、岩石内における超臨界CO_2と水の二相流動現象の解明と長期安定性評価を目的としている。はじめに、概念設計を終了している核磁気共鳴イメージング(MRI)計測用圧力容器を制作した。CO_2は地下約700mで超臨界状態となるが、本研究で制作する圧力容器は約1500m(15MPa,65℃)まで設定可能である。また、岩石を用いて実験を行う上で、流体の圧力と岩石の圧力を独立に制御する必要がある。岩石の圧力の制御に、従来の水を用いた方法では、MRI計測に支障をきたすため、代わりにフロリナートを用いることを提案し、この方法により、岩石内の水分布、CO_2分布を計測できることを確認した。実際に、CO_2地下貯留で想定される条件(深度1000m,10MPa,50℃)において、岩石内の流動現象をMRIを用いて直接可視化した。岩石には代表的な砂岩であるベレア砂岩を用い、直径15mm,長さ50mmの円筒形に整形したものを用いた。水で満たされた岩石内に圧入される超臨界CO_2の挙動を明らかにした。MRIを用いて得られる流れ方向全断面における局所的な流体の分布(飽和度分布)の時間変化データを基に、最近提案された新しい解釈手法を適用した。その結果、貯留層シミュレータに必要となる流動現象の巨視的な(ダルシースケール)モデル化を行うことが可能であることを示した。今回の実験では、ノイズ等の影響もあり、水、超臨界CO_2の各相のダルシー速度と飽和度の関係が得られるにとどまったが、計測方法を最適化することにより、相対浸透係数や毛管圧の効果を直接的に求められることが分かった。
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