研究概要 |
切削チップのリサイクルを目的とした熱間押出し試験を,AZ31BとAZ91Dマグネシウム合金に対して実施した。そして,その押出し材の室温機械的性質および表面性状を基礎的に評価した。AZ31B合金は423kで,またAZ91D合金は573Kで押出した場合,比較的優れた室温機械的性質が得られた。AZ31B合金切削チップ押出し材の引張強さと0.2%耐力は,結晶粒微細化の効果によって,同一条件での鋳造ビレット押出し材よりむしろ高い値を示した。しかしながら,切削チップのみならず鋳造ビレット押出し材においても,押出し方向にほぼ直角方向の特有の波状の表面あれを生じた。本年度に備品購入した色彩色差計は,この表面層のあれを定量的に計測するものである。AZ31B合金切削チップ押出し材表面には,底面と非底面が混合した集合組織を形成したが,一方,その表面より0.4mm下層では強い底面の集合組織を形成した。鋭い直角のダイス出口コーナに沿ったビレット層の流出に際し,底面すべりの困難性に基因した不連続なメタル流動がその特有な波状の表面あれを形成したものと推察している。 次年度は,この押出材の諸特性を利用し真空蒸留法により精製した高純度マグネシウムおよび高濃度マグネシウムを表層部に持つ複合押出しを現有の400トン縦型油圧プレス機により行う。なお,従来の押出し金型ダイスに改良を加えることで,複合押出し材の作製は実現可能と考えている。
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