全反射ラマン散乱測定による分子マクロクラスターの構造評価法の確立 これまでに固-液界面における液体の吸着や構造化を研究する手法として、表再力測定、ATR-FTIR、吸着等温線測定を組み合わせた新規方法論を用い、2成分液体中のシリカ表面に水素結合により形成される新規分子組織体の発見に至っている(水素結合分子マクロクラスター)。さらに全反射ラマン分光法を用いることで、より固-液界面近傍(数10nm)の局所的な液体の構造とそのダイナミクス評価を行うことを目指す。本年度はシリカ表面に形成される分子マクロクラスターの微弱な全反射ラマン散乱シグナルを安定して測定可能なシステムの設計、構築を行った。全反射フマン散乱光の強度はレーザー光の入射角と散乱角度に強く依存するため、レーザー光の入射角、ラマン散乱光測定角度を独立に再現性よく制御可能となるように測定システムの設計を行った。具体的には同じ回転中心をもつ2つの独立した回転ステージを組み合わせ、一方の回転ステージで入射レーザ光の角度を独立に制御し、もう一方の回転ステージでは試料セルからの散乱光を検出する角度を独立に制御可能とした。また試料セルと高屈折率ガラス製の半円筒プリズムは、レーザー光の全反射位置を中心に回転するように設計し、これらを組みあげた。これまでに全反射ラマン散乱測定システムの構築と予備的な実験を行っており、今後は実際に測定を開始する。
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