研究課題
半導体の微細加工技術が進みますますデバイスの微細化が進んでいる。ゲート酸化膜として非常に薄いシリコン酸化膜が用いられており、原子レベルでの酸化機構解明が重要視されるようになっている。電気的特性や平坦性などの特性を向上させるために、初期酸化過程機構の解明の重要性が高まっている。しかし、シリコン上の初期酸化については様々な方法で研究されてきたにもかかわらず、その酸化過程については完全に明らかになっていない。この研究では、非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)を用いて、シリコン表面上に吸着した酸素を観察し、シリコン原子との識別の研究を行った。観察像からシリコンの初期酸化構造についてのモデルについて示した。測定条件は、Si(111)7×7再構成表面に室温で酸素を0.05L〜0.2L暴露し、室温にてNC-AFM観察した。これにより酸素の初期吸着構造について以下のような知見を得た。(1)NC-AFM観測では酸素吸着した場所はシリコンアドアトムより高く観測される。(2)Si(111)7×7のFaulted HalfとUnfaulted Halfに吸着する比は約2.3であり、STMの結果とほぼ一致した。また、Corner AdatomとCenter Adatom位置に吸着する比は等しいがSTMの場合はCorner Adatomの方がやや多い。これはSTMでは吸着位置に暗点と輝点の両方の場合があり、混同している可能性があるためと考えられる。(3)吸着位置での高さは、0.6Å前後の多数の輝点と2Å程度の少数な輝点とに分類される。酸素分子が解離するといわれる350度のアニール後の表面では2Å程度の輝点は見られなくなったことから、0.6Å前後の輝点は酸素分子が原子状に解離し、シリコン同士の結合を切り、酸素原子が潜り込んだ構造が支配的であることがわかった。
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Applied Surface Science Vol.241, Nos.1-2
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