本年度は全反射型一次元フォトニック結晶構造(1-D PC)と二次元フォトニック結晶構造(2-D PC)の組み合わせ構造における、欠陥層作製手法の確立及び基礎光学特性測定系の構築を行った。当初の計画では、誘電体多層膜上へナノ微粒子を分散したポリマー薄膜、ゾル-ゲル薄膜を作製することにより行うことを予定していたが、ナノ微粒子を分散させた薄膜の作製は可能であることが確認された。中でもEB露光用レジストを欠陥層用薄膜として用いることにより、本学設備であるEB露光装置を用いて比較的広い範囲の構造作製が可能であることがわかった。現在試料作製における条件の最適化を行なっている。 全反射型1-D PCと組み合わせる2-D PC用候補として、自己組織化により周期的に配列したナノ微粒子における光学特性の評価を行なった。粒径1.5-6.8nm程度のナノ微粒子を周期的に配列を行い、フェムト秒ポンプ・プローブ分光測定によりエネルギー緩和の観測を行なった。現在可視光領域においてフォトニック結晶構造として機能させるために、粒径の大きな微粒子の作成を行なうと共に、ポリマー薄膜中への固定化条件など作製条件の最適化を行なっている。このような試料準備と並行して、本年度購入した精密小型直進ステージおよび低出力1-3軸モーションコントローラ/ドライバを用いた顕微分光系を組み合わせることにより、欠陥層面からの発光の空間分解分光光学系の構築を進めた。
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