アルミニウム基盤を用いたマイクロリアクターの開発についての研究を行った。厚さ数ミリ程度の基盤に機械加工により幅および深さ数百ミクロン、長さ50ミリメートルの微小流路を作成し、さらに、その表面に陽極酸化、水和処理等を施し膜厚100ミクロン程度の多孔質皮膜を形成した。そして、メタノール水蒸気改質反応をモデル反応とし、その皮膜上に銅-亜鉛系触媒を含浸法により担持し、管壁型触媒反応器化した。微小流路をマイクロスコープを用いて観察した結果、流路壁面が均一に陽極酸化されていることが明らかになった。また、流路の幅および深さを変えた基盤に触媒を担持したところ、含浸方法に工夫を施すことで、幅の狭い流路であっても流路内壁面にほぼ均一に触媒金属を担持できることを明らかにした。さらに、銅、亜鉛の担持条件について、含浸時間、担持溶液のpHをパラメータとして検討を行った。反応器化した基盤を活性試験装置に組み込み、メタノールの水蒸気改質反応を行い特性を調べた。反応器容積が微量なため、微少量の反応成分を送り込む必要があり、メタノールと水の混合溶液をマイクロフィーダにより送り込んで実験を行った。反応前後の成分をガスクロマトグラフにより分析したところ、本研究で開発したマイクロリアクターは優れた改質特性を持ち、300℃以下の温度で高いメタノール転化率を得ることができた。また、生成ガスに含まれる一酸化炭素濃度を非常に低く抑えることができた。今後は、流路形状が活性に及ぼす影響、流路壁面への効率的な触媒担持方法の開発、基盤化工、接合等の技術の開発等を行うことが重要である。
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