研究概要 |
1.2002年台風6号災害時の防災情報利用状況解析 同災害時に実施した調査結果を解析し,災害時にインターネット系リアルタイム雨量情報を利用した住民は4%程度だったこと,防災無線等他の媒体から、リアルタイム情報を入手した住民が多かったこと、情報入手住民は非入手住民より避災行動成功率が高いことなどを明らかにした. 2.2003年5月三陸南地震時の防災情報利用解析 同災害後に調査をし,ほとんどの住民が「情報待ち」状態で地震直後に避難行動を起こさなかったこと,インターネット系情報の利用意向者は2割弱であること,ADSL回線はほぼ障害がなかったが,携帯メール・携帯ネットアクセスは地震直後に使用できなかったことを明らかにした. 3.2003年7月九州豪雨災害時の防災情報利用解析 福岡市の洪水では,あらかじめ定められた計画に従い,インターネット系リアルタイム水位情報を活用して被害を未然に防いだ事例を確認した.水俣市の事例では,整備されていたリアルタイム情報の存在を当事者がほとんど理解しておらず,システム整備後に責任を持ってシステムを普及させる体制構築が重要であることを指摘した. 4.地域型防災マップ作成手法の検討 2 地域において住民参加型地域型防災マップ作成ワークショップを企画し,実施体制の検討を行った.効果に関しては,事後に当該地域で自主的な防災体制づくりが始まるなど部分的には見られたが,事前・事後のアンケートなどからは定量的な効果の確認には至らなかった. 5.津波災害時の人的被害と防災情報の関係に関する検討 死亡状況が明確な災害である津波を取り上げ,個々の死亡者の死因を解析し,その死亡を防災情報で救命しうるかを検討した.1983年,1993年の、2事例では,それぞれ約2割ほどが救命の可能性があったことを指摘した.
|