本研究では、視線位置を計測可能なHMD(Head Mounted Display)を開発し、災害現場で事態の収拾に携わる作業員をIT武装し、作業員と対策本部にいる災害対策の専門家との協調作業を支援するシステムを開発することを目的とする。特に、対策本部にいる専門家が作業員の意図を推定する手段として、作業員の視線情報を用いることに着目している。 今年度は、眼球カメラと視野カメラを装備した視線位置計測機能付き片目型HMDの開発を行った。この際市販の片目型のHMDを利用し、視線位置検出機能付HMDを開発することとした。眼球撮影のためには、ディスプレイを設置していうのと反対の目に向けてカメラを設置し、前方撮影のために小型の視野カメラも設置した。開発したHMDは、これまでの研究による両目型向MDと比較すると、前方を遮るものが少ないので、現場を移動する際の安全確保が容易である。また、開発したHMDを利用した遠隔作業支援システムの全体設計を行った。設計したシステムは、作業員と対策本部が連絡を取り合い、協調作業を行う事が可能なシステムとなっている。この際、利用しやすさを考慮し、作業員の装備の軽量化、無線化を行った。無線化は、無線LAN・ビデオトランスミッタを利用した。ソフトウェアに関しては、開発したHMDを利用して、眼球カメラから眼球中心位置を抽出し、線野画像とあわせて作業員の注視している場所を検出する手法の開発を行った。 次年度の研究開発においては、今年度開発したシステムのソフトウェアのデバッグを行い、また、現場に複数人が行った場合に備えてのシステムのマルチユーザ化も課題である。また、対策本部に作業員が収集してきた情報を蓄積し利用するためのデータベースシステムの開発が必要である。その後、信頼性・有用性の評価を行う。
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