研究概要 |
本年は,準モンテカルロ法の効率を高める手段として,Linear Transformation Methodを開発し,それらをデリバティブの評価に適用することで,その効率性の分析を主に行った.その結果,研究論文"Minimizing Effective Dimension using Linear Transformation"を完成させた. さらに,準モンテカルロ法全体の中での分散減少手法という位置づけを確認し,より一般的な問題に適用するための分析に着手した.関連する多くの分野の研究者とこの問題について議論するため,本年度は国内において積極的に研究発表を行った,平成15年7月には,京都大学経済学部のワークショップにて,「ファイナンスにおける準モンテカルロ法の効果的利用法」と題して研究発表を行った.平成16年1月には,都立大学経済学部にて,「モンテカルロ法の発展と準モンテカルロ方法の効率化に関する研究」と題した研究発表を行った.さらに,2月には,日本ファイナンス学会第9回研究観望会にて,「ファイナンスにおける(準)モンテカルロ法の発展」と題して研究発表を行い,研究者と議論を行った.現在はその結果をふまえて,研究論文"A General Dimension Reduction Technique For Derivative Pricing"を投稿中である. また,準モンテカルロ法の新しい適用先として,アメリカン・オプションの評価問題に着手した.本年度は,特にスイッチング・オプションと呼ばれるタイプのデリバティブに焦点を絞り,"Evaluating the Switching Options by Simulation Methods"を作成,3月に「保険・年金リスク研究報告会」にて発表を行った.また,次年度に"The Third World Congress of the Bachelier Finance Society"で発表する予定である.また,別の有力な応用分野として個人の効用を最大化するように種類の異なる証券と債券の投資戦略を考えるいわゆる最適アセットアロケーション問題への適用可能性を考え,"A Quasi-Monte Carlo Method to the optimal Asset Allocation"を作成し,これも次年度の海外の学会(MCQMC2004)にて発表を予定している.
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