阪神淡路大震災以降、自治組織によるボランティア活動が着目され、災害・福祉型ボランティアだけでなく、その後、生きる目標を見いだしかつ地域を活性化させる意味での「文化ボランティア」という概念が誕生し、平成14年からは文化庁を中心として文化ボランティアを積極的に推進する動きも見られるようになり、文化が経済を動かす原動力として注目を集めるようになった。しかし、国内における文化ボランティアの実態は十分に把握されておらず、また多くの課題を残したままであった。そこで本研究では、第1次調査として、2004年3月に全国約4000館に及ぶミュージアムにアンケートを送り、実施の有無を確認する基礎調査を行った。約2500館からの回答を得た。その結果、実際に何らかのボランティア活動を実施している施設が759館にのぼることが判明した。これは、1993年に日本博物館協会が調査した結果(139館)と比較すると、この10年間で約5倍の施設が導入していることとなる。そして、来実施に向けて検討中の施設もあわせると、1000館を超え、全国のミュージアムの約4館に1館の割合でボランティア活動が実施中、あるいは検討しているという実態を捉えることができた。つまり、日本中で文化ボランティアが急速に認知かつ実践されている実態がつまりは文化ボランティア活動に対する社会的認知度が高まっている現れであり、市民連携のあり方がますます多様化する可能性を示唆していると考えられる。2次調査では、実施館に対して、2004年12月より活動の具体的内容・展開・課題等を調査するアンケートを行った。その結果、単なるお手伝いの領域から地域文化の創造に貢献する活動が展開している構造を把握することができた。今後、これらの結果を報告書の形式で完成させる。
|