研究概要 |
座席予約に関する新たなビジネスモデルを提案した.提案ビジネスモデルは,サービスを受ける側(顧客)と提供する側(企業)の要求価値を追求し,かつ調整する機能を備えている.本モデルでは,顧客満足とスループットの最大化を行う.具体的には,顧客には顧客の望む範囲内でサービスを受けたい時期と価格を明示してもらい,その範囲でサービスを提供できる顧客をいかに多くするかを考える.このように,顧客自身がサービスを受ける権利(サービス座席あるいは単に座席とよぶ)の価格形成に直接的に参加するのが本モデルの大きな特徴の1つである. 提案ビジネスモデルにおけるサービス座席の割当には,個体分裂アルゴリズムを用いる.個体分裂アルゴリズムは生産ラインの設計で既に実績をもつが,サービス座席の割当に適した運用方法を提案した.具体的には,座席の割当を「座席を割当る顧客数の最大化」「最も希望する座席を割当る顧客数の最大化」「最大割増価格の最小化」の3つの段階に分け,それぞれの段階について,前段階の達成度を固定したまま座席の割当を行った.これにより,より最適な座席割当が可能となった. 座席予約システムの構築については,エーザインターフェイス用サーバと座席割当用サーバーの2台のサーバを準備し,それぞれが連携してデータをやりとりすることで,安定したシステムの運用を図れるようにした.システムで使用したソフトウェアは,OSも含めてそのほとんどがフリーソフトウェアを活用し,低コストでのシステム構築を実現した.現在,少数ユーザ利用可での運用には問題が無いことが確認できている.
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