研究概要 |
本年度の調査では以下について調査・研究を行った。 火山地域に分布する火山灰土壌の起源について知るために,最初にその母材の第一候補である火山噴火により直接もたらされた一次テフラの特徴について調べた。具体的には口之永良部島火山・霧島火山群・中国東北部白頭山(長白山)地域において,前者2地域では鬼界アカホヤ火山灰(6.3ka)以降,後者で10世紀噴火以降の火山灰層序を再検討した。同時に火山周辺域での火山灰土壌層の6.3ka以降の総層厚変化について調査を行い,口之永良部島火山では6.3ka以降に活動したと推定される古岳・新岳の2火山を中心とした同心円状の分布を示すことがわかった。口之永良部島火山の一次テフラの検討からは,ブルカノ式噴火の火山灰が多く認められるが,小規模な噴火の場合には地層として残されていない可能性が高い。従ってこのようなテフラが黄砂などの風成塵等と混濁して土壌化しているために一次火山灰と同様な分布を示したと考えられる。このような土壌中に含まれる火山噴火の痕跡について知るために現在,一次テフラ中の構成鉱物種と土壌中のものとの比較検討を行っているところである。 白頭山地域に認められる土壌の検討からは,日之永良部島火山のような空間的な分布は明らかではないが,火山地域から離れるに従っで,テフラの層厚とともに介在する土壌層の層厚も薄くなる傾向がある。白頭山では10世紀以降に複数回の噴火記録が残されており,ここでも風成塵の効果よりも小規模噴火による寄与が大きいと考えられる。
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