平成15年度に行った、PCクラスター上での差分法(FDM)による波動伝播シミュレーションプログラムの性能評価をふまえ、汎用プログラム(GMS : Ground Motion Simulator)に並列計算機能を実装し、計算に用いるCPUの数と計算時間の関係を評価するとともに、プログラムのスケーラビリティーを検証した。 並列版GMSにより、実際の地下構造・震源を反映した約4000万格子のモデルにより、プログラムのスケーラビリティーを検証した。その結果、16台のPCから成るクラスターにおいて1台の場合の約14倍の計算速度を実現し、約87%の効率で並列化が図られた。パラメータ設定の自由度の高い汎用プログラムと、現実的なモデルの組み合わせとしては、非常に高いスケーラビリティーが得られた。 また、開発したPCクラスター版の並列計算プログラムを用いて、2003年十勝沖地震の長周期地震動のシミュレーションを行った。北海道の主要部分を含む約400kmx400kmという広い領域をモデル化するために、約1.6億格子の大規模な地下構造モデルを構築した、シミュレーションを行った。シミュレーションにより再現された2003年十勝沖地震の長周期地震動は、北海道の広範囲にわたって観測記録と非常によい一致をみた。
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