気管支喘息およびアトピー性疾患は20世紀後半、先進諸国において約10倍増加し、現在、対数的に増えつつあると報告されている。気管支喘息は気道の炎症がその本態と考えられているが、気道炎症のバイオマーカーとなるものはいまだ存在しない。本研究は喘息のバイオマーカーとなりうる遺伝子およびたんぱく質をプロテオミクスとGeneChipの技術により同定することを目的とした。小児アトピー性気管支喘息患者(年少者の場合は代諾者)にインフォームドコンセントを得た後に喘息発作時(入院時)と非発作時(安定期)の静脈血を採取した。静脈血より分離したリンパ球の網羅的遺伝子発現解析をタカラバイオHS Human Expression Chipを用いて10ペアについて行い、複数の発現に差の認められる遺伝子を同定した。プロテオーム解析については蛍光二次元電気泳動システムを用いて、一次元目としてpH4-7の範囲で等電点電気泳動を行い、二次元目としてtタンパク質の分子量で分離するSDS電気泳動法をおこなった。20ペアの解析が終了し、これについてもいくつかの変化のあるたんぱく質が同定された。
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