研究概要 |
1.細胞性粘菌におけるdictyopyrone類の作用メカニズムの解明 Dictyopyrone類の細胞性粘菌の生活環に対する影響を,D.discoideumの変異体(HM44およびHM18株)を用いて詳細な検討を行った.その結果dictyopyroneは,すでに細胞性粘菌の分化誘導因子として知られている低分子化合物DIF-1(Differentiation Inducing Factor 1)の作用を増強することで,予定柄細胞への分化を促進することが示された. 2.哺乳類細胞への応用 昨年度の本研究でdictyopyrone類はヒト白血病K562細胞に対して増殖抑制作用を示すことが示されている.そこで,合成して得られた様々なdictyopyrone誘導体についても同様の作用を検討した.その結果,αピロン環上の酸素原子を窒素原子へと変換したアザ誘導体が,より強い増殖抑制作用を有することが明らかとなった. 3.細胞性粘菌から新たな生物活性物質の探索 細胞性粘菌が産生する低分子化合物の報告はこれまでにほとんど無いが,dictyopyrone以外にも新規生物活性物質を産生している可能性がある.そこで,Dictyostelium brefeldianumおよびD.giganteumの子実体を大量培養し,成分探索を行った.その結果,brefelamideと称する新規化合物を単離・構造決定した.
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