研究課題
ノルゾアンタミンの研究についてはこれまでに卵巣摘出マウスに投与すると、女性ホルモン特有の副作用である子宮重量の増大を伴うことなしに骨重量および骨強度の増大が報告されてきた。しかし同時にIL-6産生阻害も報告されており、エストロゲンレセプターとの関連性については解明すべき点が多い。細胞レベルで骨芽細胞を増殖促進させることを一昨年度に見いだし、このときは増殖プロファイルが女性ホルモンでのひとつである17βエストラジオールとは異なることがわかった。今回、エストロゲンの発現が確認されているヒト乳がん細胞MCF-7を用いた実験系を立ち上げ、ノルゾアンタミンの投与によりその増殖が促進されることを確認した。17βエストラジオールの場合についても同様である。またトリチウム標識した17βエストラジオールを用いた細胞抽出物に対する結合活性もノルゾアンタミンと17βエストラジオール双方に認められ、ノルゾアンタミンを10000当量ほどの量を投与すると競争阻害がかかることも見いだした。これにより分子レベルでのノルゾアンタミンのエストロゲンレセプターに対する結合活性が弱いながら確認することができた。しかしノルゾアンタミンと17βエストラジオールを培地に同時に加えて細胞培養すると増殖が抑制されることより、受容体と結合した後の二量化の時になにか特別な作用機序が存在する可能性があると考えられる。
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