3年計画の一年目である平成15年度に達成した成果は、1.地図資料分析のための研究環境整備、2.研究の骨子となるアイデアについての情報交換、3.現地調査、の3項目に分類できる。 1.研究環境整備 本研究では、紙媒体の地図・航空写真・衛星画像といった多面的な地図資料を統一的に扱う必要があるため、そのような解析に必要なコンピュータ周辺機器、分析方法に関する書籍、資料などを購入した。これらを主として活用するのは16年度以降になるが、今年度の予備的使用と分析方法のシミュレーションにより、解析環境はほぼ整ったと考えている。 2.研究方針に関する情報交換 平成15年10月に、自然保護区の環境に関する地図資料解析において実績のある米国ミネソタ大学を訪れ、保全生物学・画像解析の専門家と情報交換を行った。先端の研究施設の実情を知ることができた上、とくに地図資料の解析方法について、本研究の遂行に有益な多くの知識を得ることができた。引き続いて同月から11月にかけて、エチオピア・アジスアベバ大学において行われた、所属部局の21世紀COEプロジェクトが主催するシンポジウム「環境と生業をめぐる地域住民のとりくみ」に参加し、本研究に関連するテーマについて参加者と議論し、有益な示唆を得ることができた。 3.現地調査 平成16年2月に、ギニア共和国ボッソウ地域において現地調査を行った。GPS機器を用い、村落周辺の土地利用図や森林植生図の作成のために必要な地理的計測を集中的に行った。予想以上に時間がかかったため、予定していた計測全てを終了することはできなかったが、重要なデータとなる村周辺にパッチ状に分布する高木林の境界測定については、精度の高い計測を終了することができた。残りの計測および農作物被害の実情調査、村人への聞き取り調査は、次年度以降の現地調査の課題である。
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