申請者は、平成10年度財団法人医療科学研究所より研究助成を得て、「男性看護職(看護士)の職域拡大に関する社会学的研究」を、平成13年度および平成14年度には厚生科学研究費補助金を得て「看護職における男女共同参画の課題と可能性に関する研究」を主任研究者として実施。看護領域に焦点をあて、当該テーマに関するデータを蓄積してきた。 今年度においては、これまでの蓄積をふまえ、(1)看護職・介護職における男性性に焦点をあてた運動の現況を追跡するとともに、(2)さらに看護職・介護職だけに限らない広範囲な職業領域を対象に男性ピンクカラーをめぐる現状の把握を目指した。上記二つの課題に向け、それぞれの概況について明らかにすることを目的として、各地で面接による聞き取り調査を実施した。 具体的には、(1)として、ネット上で男性看護師の情報交換・相談の場である「日本男性看護師会」を運営する主催者、および、同じくネット上と地域で男性保健師の情報交換・交流の場をおもに沖縄県を中心に運営する主催者に聞き取り調査を実施、(2)として、従来行ってきた看護・介護職者への聞き取り調査対象を理論的サンプリングによって対象拡大するとともに、未だ絶対数としては極めて少ない「男性保健師」(地域特性の比較のため東京地区および沖縄地区でそれぞれ複数名個別面接調査を実施)、「男性養護教諭」(大阪地区)らへの聞き取り調査も実施した。 今後は、男性ピンクカラー内部における職業間での差異(職場環境、クライアントとの関係性、関連職種との関係性等)に注目しながら、職業・感情・ジェンダーをめぐる構造をより詳細に明らかにしていきたい。
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