研究概要 |
今年度は本研究の最終年度にあたるため、これまでの研究成果を国際学会や雑誌等において発表した。2005年12月にドイツのLitt社から出版されたPraktische Philosophie in gesellschaftlicher Perspektive(『社会的な視点からの実践哲学』)に寄稿した論文"Zeuge, Maschinen und Menschliche Autonomie" では、「技術的志向性」について発表し、ハイデガー、アレント、サッチマン、ラトゥールらの考え方を批判的に検討しながら、科学技術哲学を構築するための一つの視点を提供した。また、人工知能学会が編集した『人工知能学辞典』の項目として執筆した「サール・ドレイファス論争」では、サールとドレイファスの人工知能批判を紹介しながら、人工知能に関する哲学的議論の整理を行った。さらに、北海道大学大学院文学研究科紀要に発表した論文"Life Technologies and Religious Views"では、生命技術に対する人々の態度の特異性を際立たせることにより、人工物や技術一般を哲学的に把握することの可能性を検討した。 また、口頭発表では、ノッティンガム大学で行われた国際会議The Centre of Theology and Philosophy, ANNUAL CONFERENCE: PHENOMENOLOGY AND TRANSCENDENCE(1-2 September 2005)およびソウル大学哲学科のコロキウム(18 November 2005)において発表した"Social Intentionality and Reductionism in Neuroscience and Artificial Intelligence"により、脳神経科学と人工知能における還元主義的傾向に対する批判的検討を行ったほか、科学哲学会のワークショップ「設計の哲学」(2005年12月4日)で発表した「人工物設計の哲学と倫理」では、人工物に関する哲学的議論のサーヴェイを行った。さらに、東京大学先端科学技術研究センターで開催された第49回科学技術社会論研究会では、"Politics of Artifacts and Engineering Ethics: Informed Consent and Risk Communication"を発表し、人工物の政治性に関する哲学的分析を行った。
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