• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

言語を語る主体の生成の解明…ハイデガー哲学の批判的改訂の試み

研究課題

研究課題/領域番号 15720003
研究機関山口大学

研究代表者

古荘 真敬  山口大学, 工学部, 助教授 (20346571)

キーワードハイデガー / 言語 / 主体と努力の概念 / 自己 / 動物 / 自然史的過程 / 志向性 / 心身結合体
研究概要

ハイデガーの1929/30年講義『形而上学の根本諸概念』は、「存在者としての存在者」を開示する原的ロゴスの「として構造」こそは,動物的存在から人間的な現存在への飛躍と断絶をもたらすものであるとしている。そうして言語の構造こそが、人間存在と動物存在との絶対的断絶を、背後には溯源し得ない原始的事実として決定してしまったのだと主張され、そうした言語の生成を自然史的過程として問おうとする思考は封印されてしまっていると思われる。こうしたハイデガー的思考の枠組みを流動化し、"言語主体としての<私>もまた動物的生命との連続を欠いてはそもそも生成しえない"というもうひとつの原始的事実を究明することが本研究の目標であるが、その最初の課題として本年度は、上記講義において「石は無世界的であり、動物は世界に乏しく、人間は世界形成的である」というテーゼによって反復されるアリストテレス的な霊魂論の見取り図を、人間的な自己の生成の追究へと向けて批判的に検討した。動物的な世界の「乏しさ」を特徴づけるにあたりハイデガーは、動物の行動はその都度「何か」へと外向するものではあるが、決してその「何か」へと自己を「対置」する対象志向的な態度に媒介されておらず、それは、「として」構造に分節された人間の「振る舞い」とは異なる「行動」にすぎないと論考している。こうした論考は、人間の対象志向的な知の次元が、常に既に、身体能力それ自身の直接的存在の次元に基づけられていることを過小評価し、そもそも"私の身体それ自身は<私>の努力によって制御可能になったのではない"という原的な過去が、"心身結合体=心身分離体"としての人間の「自己」意識の生成にとって有する意義を看過していると言わざるをえまい。西日本哲学会誌に発表した論文において、私は、この論点の詳述と解明を、メルロ=ポンティとヘーゲルの試みを参考にして行った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 古荘真敬: "人間と動物の差異をめぐるハイデガー的思考の再検討"西日本哲学会編 西日本哲学年報. 第11号. 79-92 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi