本年度は、近代日本仏教史におけるエンゲージド・ブッディズムの萌芽的な思想について、トランスナショナルな接触によって生起した様々な思想的営みがどのように展開したのか、という点から研究を行った。 2004年9月、カリフォルニア大学でIssei Buddhism Conferenceのコーディネータとして参加した。"Discourses on‘Americanization'and‘Tradition'in Issei and Nisei Publications"という報告を行い、日・米・加・伯の研究者より多くの教示を得た。共同コーディネータのD・ウィリアム氏と共編で日系仏教の南米・北米における初の国際共同執筆になる著作をカリフォルニア大学出版会より刊行予定。渡米当初から戦時中の抑留体験までを取扱っている。 2004年11月、以前(2001年8月)にハワイ大学で開催された、大戦間期における日系人の歴史に関する国際会議での報告が、ハワイ大学出版会より出版予定となったので、エンゲージド・ブッディズムの視点を加えて投稿した。 2005年3月、IAHRにて"Japanese Zen on the State"と題して発表。日本人仏教徒(国際的に活躍した鈴木大拙と、無名ながら一貫して平和・非暴力を唱えた井上秀夫)をとりあげた。彼らのトランスナショナルな接触がどのように思想の深化に影響したのかについて、パネリストからの教示を得て2005年5月〆切のJapanese Jounal of Religions Studiesに投稿する予定。
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