研究概要 |
○2003年3月にパリ国立国会図書館で拝見した奈良絵本『西行物語』のカラー画像を7月に入手。8月には東洋文庫蔵奈良絵本『西行物語』のカラー画像を入手。京都大学図書館蔵奈良絵本『西行物語』(『京都大学蔵むろまちものがたり11』臨川書店)との比較検討を行なう。陽明文庫蔵『西行絵詞抜書』の影印も入手。 ○伝阿仏尼筆の古筆切等38種をスキャナで読み取り、画像を一行ずつに切り取り、桐を用いて、翻刻と共にデータベース化。「巻頁,行,巻頁行,切名番号,翻刻,画像,歌番号,備考」各項目を入力。これにより、ある言葉を含む行を、文字データと画像データと共に抽出することが可能になった。 ○作成したVisual Basicプログラムを用いて、翻刻データを一文字ずつ改行。Excelと桐を用いて「巻頁,行,字,切,切名番号,巻頁行字,文字,字母,画像,歌番号,備考」各項目を入力。画像を一行ずつ表示し、文字位置を数字で表現。字母の欄には、今野真二氏(『仮名表記論攷』2001年)と長谷川千秋氏(「撥音・促音の混用表記に関する-考察」『叙説』1994.12・「直音と拗音を書き分ける仮名文字遣」『国語国文』1997.10)を参考に、字母・字形を類推できるよう分類。 ○上記データベースを活用し伝阿仏尼筆古筆切38種の全文字数、仮名数及び各字母数を調査。Excelを用いて仮名率と各字母の使用頻度の%表示を加えた一覧表を作成。 ○伝阿仏尼筆本『西行物語』のデータベースを作成。伝阿仏尼筆の古筆切等38種と比較検討を行い、伝阿仏尼筆『西行物語』の字母使用の特徴を把握した。 ○『西行物語』の諸本のうち、書写年代の明らかな書陵部蔵本(1460年)・歴物本(1600年)と比較的早い書写の天理図書館蔵本・旧久保家本絵巻・伝土佐経隆筆絵巻のデータベースを作成、伝阿仏尼筆本との比較を行い伝阿仏尼筆本の書写年代に関しての考察を行った。
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