本年度は本課題の最終年度として、(1)持続的に文献・書誌調査を行いつつ、(2)3年弱にわたる研究の集大成にあたる成果を論文として発表した。また当初の計画通り(3)電子媒体上に調査報告(データベース)を公開した。以下各々について本年度の活動報告を行う。 (1)調査先としては、国立国会図書館、都立中央図書館、大東急記念文庫、東洋文庫、国文学研究資料館、九州大学文学部、関西大学等。具体的な調査内容としては、研究課題における具体的な調査対象である江戸時代の本屋・上総屋利兵衛の出版書目の一覧表を作るべく、諸本調査を行った。 (2)昨年11月に日本近世文学会において行った口頭発表に基づいて、さらなる調査・研究を盛り込み「書物と地本の間-文化期後半の中本型読本をめぐって-」『近世文藝』83号(2006年1月)として発表した。本稿は、本課題の中心にある問題意識、19世紀の出版と流通の解明に対し「中本型読本」と呼ばれる一連の書物を対象として、江戸と上方の書籍流通などを探ったものであり、これが本課題の最たる成果と言える。 (3)(1)で行った調査の報告として「上総屋利兵衛出版書目年表稿」をWEB上(http://kigoshi.ypu.jp/kazusaya.html)に発表した。ただし初年度に想定していた調査先の全てに足を運ぶことができず、今後も補訂作業が必要となる。 以上、データ作成、研究論文ともほぼ計画通り遂行することができたと思われる。
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