(1)2004年度に日本英語コミュニケーション学会本部研究フォーラムにて口頭発表していた「二つの言語のはざまで:英語と日本語をめぐる文化と翻訳論」に加筆・修正等を加え、同学会研究紀要誌The JASEC Bulletinに論文「二つの言語のはざまで:英語と日本語をめぐる文化と翻訳」(2004年第13巻第1号:pp.27-39)を掲載した。本論においては、英語教育の重要性が改めて唱えられる今日、「21世紀日本の構想」懇談会の打ち出した英語第二公用語論や、異文化・異言語世界にあこがれ日本を後にする海外移住者たちが今後の日本語文化にどのような影響を与え、また混成的な言語と文化創設にどのように関わりえるのかを、「文化翻訳」論の視点から分析した。 (2)現代の日本人や目本に滞在する外国人がどのような人種観をもち、いかなる人種関係を形成しているのかをより具体的に分析するために、早稲田大学西早稲田キャンパスを中心にアンケート調査を行った。調査では、被験者に自らの人種を特定してもらい、それが対人関係上どのように作用するのかを、筆記回答してもらった。結果では、調査が大学キャンパスという限られた場所、それも比較的リベラルな考えの強い場所で行われたこともあり、十代後半から二十台半ばにかけての被験者たちの既成の人種的枠組みに縛られない自由な人種観があらわれた。2006年度には聞き取り項目の見直しをしたうえで、再度の調査をより幅広い被験者を対象に行いたい。
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