作成済みの口承文芸に関するイラン現地調査の資料(202例)について研究に耐えられるコーパスへと整形するための作業を行った。また、正確な情報付加を行うためにイランへ渡航した。さらに、実験的検索システムを作成した。 平成15年度は下記の1から4に示した方法で研究を行った。なお、データ入力や単純な作業についてはペルシア語の専門知識を持つ研究補助者を活用した。 1.翻字化資料の整形:MacOSで作成されたプレーンテキストの状態のペルシア語の資料をunicode形式に変換し、windowsOSで作業可能なコーパスの状態にした。さらに、このデータを文単位でXML形式に整形した。また、試験的に一部のデータに品詞情報を付加した。 2.民俗学的情報の付加:話型構成に関する情報(エピソード及びその下位構造であるモチーフを指す)を全ての事例に付加した。 3.イランにおける確認調査:イラン・イスラム共和国テヘラン市内で確認調査と資料収集を行った。確認調査により、データ整形以前の過程で抽出された11点の問題点、疑問点が明らかになった。また、4名の話者から36例の口承文芸に関する音声資料を新規に収集した。内訳は民話が3例、民間信仰が32例、歌謡が1例である。また、願掛けのための小祠等の民間信仰に関する約60点の画像資料を収集した。 4.民俗学的研究:作成されたコーパスを用いて、民話学の立場から実験的作業を行った。XMLデータの検索を行うため、xslによる試行的システムを作成し、テキストデータの簡易複合検索の実験に成功した。これにより、全データの中から日本語とペルシア語の2ヶ国語による同時複合検索が可能となり、次年度以降のシステム拡張のための基礎ができた。
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