今年度は資料の収集や整理・分析を中心に研究を進めてきました。 資料の収集においては、日本の研究機関で入手困難な中国の文献や資料を若干集めてきました。具体的には昨年の夏に、中国北京市の北京国家図書館へ資料調査をしてきました。目的は「『満洲国』末期に華北地方へ渡った東北作家の文学活動」に関する調査です。期間は2003年8月24日〜30日(7日間)です。調査の結果、北京図書館所蔵の当時の新聞、雑誌、書籍、マイクロフィルムなど貴重な研究資料を発見し、一部複写してきました。また日本国内において、この研究分野の先駆者のご協力により一部入手することもできました。入手したこれらの資料により、「満洲国」末期(1940年以後)における中国人作家の華北地域への流出(亡命)現象が確認されました。また、「満洲国」中国人作家の「外」とのつながり(関わり)についてある程度判明しました。このことは本研究課題(「満洲国」時期の中国人作家とその文学活動に関わるすべての事象、事件、組織、人物、作品の発表メディアなどをマクロ的に解明すること)にとって大きな前進であるといえます。 収集してきたこれらの研究資料に対し、現在は整理・分析の作業を中心に研究を進めているところです。具体的には資料の読み込み、データ・ベース化、問題の発見につながる整理・分析などの作業をおこなっています。 来年度以後は、現地での補充調査を進め、引きつづき資料の整理・分析をおこない、早ければ当面の研究成果として『「満洲国」中国人作家評伝』(仮題)をまとめたいと考えています。
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