• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

アイルランド語と日本語の移動現象に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 15720089
研究機関岐阜大学

研究代表者

牧 秀樹  岐阜大学, 地域科学部, 助教授 (50345774)

キーワードIrish / Japanese / movement / go / aL alternation / word order / VSO / SOV / superiority
研究概要

クイーンズ大学ベルファースト校言語、文学、芸術学部のDonall P.O Baoill教授に、母国語話者によるデータの判断を得た。これにより、従来観察されていなかった事実が3点観察された。
1 アイルランド語は、VSO言語である。文頭の動詞がコマンドする領域に主語と目的語が同時に含まれるので、これまでの生成文法の予測では、主語からと目的語からの抜き出しに関して、文法性に相違はないことになる。しかしながら、実際には、動詞が先頭に来ていても、主語からの抜き出しは、不可能であることが分かった。
2 アイルランド語は、動詞が先頭に来ると一般に考えられている。主節においては、これは、常に正しい。しかしながら、補文に節を取る動詞のrememberやregretを調査すると、埋め込み節における語順は、動詞が先頭に来ないことが分かった。これらの動詞は、時制文とともに、非時制文(または、動名詞節)を取る。非時制文においては、主語、目的語、動詞の語順は、SOVとなり、動詞が最後に現れる。また、この動名詞節の性質は、そこからの名詞句の抜き出しが可能であるため、名詞節とは言えず、移動の障壁になっていない。したがって、動名詞節の動詞は、時制のない動詞と考えてよい。そして、そのような動詞は、主語、目的語の後に生じる。
3 アイルランド語のwhyの分布は、特殊であることが知られている。McCloskey(2002)によれば、補文標識の左に基底生成され、その後、必要がある時に、上位の補文標識の左に移動するとされる。しかしながら、母国語話者による判断によると、whyが基底生成された位置から、上位の補文標識の左に移動するとことを示す証拠は、発見されなかった。したがって、アイルランド語のwhyは、統語部門内では、常に、基底生成された位置にあり、必要がある時には、論理形式部門で、下方に移動すると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Maki, H, K.Kobayashi, J.Dunton: "A Genitive NP in the Nominative/Genitive Alternation Does Need a Noun"Bulletin of the Faculty of Regional Studies, University of Gifu. 13. 101-106 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi