研究概要 |
本研究では,音声データベースにもとづく定量的分析を通し,自発音声における言語変異現象の実態を解明すると同時に,その言語変異の言語内的・外的要因を明らかにすることを目的とする.この目標を達成するためには,ある程度の規模の音声コーパスを整備する必要がある.そこで平成15年度は,当初の計画通り,以下の4点を中心にデータの整備を行なった. 1)音声データの収集と文字化資料の作成 2)撥音化・促音化・直音化の判定 3)言語内的要因に関する情報付与 4)言語外的要因に関する情報 また収集整備したデータが,音声変異現象の分析に十分な規模であるかを調べるために,助詞「の」の撥音化現象に限定して予備的分析を行なった.その結果,言語内的要因(前後の音韻環境・助詞の機能),言語外的要因(性別・改まり度・発話速度・自発性など)のいずれの要因に関しても,撥音化の生起に関係することが明らかになった. このことから,データの規模は今回収集したもので十分と判断し,平成16年度は予定通り本格的な分析に重点を移す.
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