[会話の場面設定]日本語学習のための教科書、参考図書、先行研究から、教材の対象となる会話場面の選定を行った。教科書等で多く取り上げられ、重要度が高いと認められたもの、日本語母語話者との会話を進める上で使用頻度が高く、円滑なコミュニケーションの鍵となる表現の中から次の五つを対象とした。(仮称)(1)「呼びかけと質問(友人編)/(目上の人編)」、(2)「問い返し(友人編)/(目上の人編)」、(3)「確認」(友人編)/(目上の人編」、(4)「同意と助言/(友人編)/目上の人編)」、(5)「依頼(友人編)/(目上の人編)」 [教材構成]親しい友人との会話で用いられる表現と、目上の人や面識のない人等との会話で用いられる表現、および、それに伴う音声を対比する形で学習者に教材を提示する。また、学習者の習得過程を見るため、教材使用開始時の実力テスト、それぞれの表現についての練習と説明編、最後の達成度テストという三部立てにする方向で作業を進めている。 [習得対象音声]目上の人等への会話では「丁寧さ」を、友人に対する会話では「親しさ」を表す音声を習得対象する。 現在、同じ表現形式でありながら、異なる意図として聞き取られる音声について、どのような音声を学習者に提示するかの検討を行っている。また、サンプル教材として収録した会話音声を用いて、Web上に載せるための録音方法、および表示方法についても検討中である。丁寧さ、親しさを表す音声の韻律的特長は、言語によって異なることが先行研究からも指摘されており、この点についていかにして学習者の注意を喚起していくか、それをどのように教材にしていくかが今後の教材作成を進める上での課題である。
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