研究概要 |
本年度は、まず評価の対象としてどのような発話データを集めるべきかを検討した。これまでの研究成果から,外国人の日本語発話において「日本人評価」に影響を与える要因として,(a)「学習者要因」:学習者の母語,学習歴,学習レベル,誤用の性質等,(b)「発話形式」:発話場面(公的・私的等),スピーチレベル(普通体・丁寧体等),独話,対話等,(c)「発話内容」:依頼,説明,質問,解説,謝罪,切迫性等,(d)「媒体」:音声・映像等が示唆されている。 特に日本人評価者が社会人の場合,「意味が通じればいい」と多数が一見寛容に評価する一方で,ビジネス等の公的場面や,聞き手に判断・行動を要する依頼など,確実な意思伝達が求められる内容では,一転して評価が厳しくなる。そのため,本年度は特に(b)(c)に焦点を当て,外国人と日本人の間で現実に起こり得るコミュニケーション場面を工夫し,その上で(a)(d)を踏まえた日本語発話を音声と映像の両面からデジタル・データとして収録している(継続中)。 また、上記のような実験的な方法ではなく、外国人が日本語によるコミュニケーションにおいて発音上の問題から日常生活において実際にどのような問題が生じているのか、外国人本人はそれらの問題についてどのように受け止めているのかについて、来日直後から縦断的にダイアリー形式でのデータを収集している(継続中)。 来年度は、以上のデータ間の関係の分析と、日本人を対象とした評価実験を行う予定である。
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