研究概要 |
今年度は,トルコ共和国(イスタンブル大学)所蔵のウイグル語行政命令文書の写真複製の調査を主たる活動とした。この写真複製は,第2次大戦中に戦火のため消失したドイツ隊将来文献の状態を伝えるものであり,モンゴル時代(13〜14世紀)のウイグル社会の行政システム・税役制度・社会経済状況などを考察する上で重要な史料であることが,今年度の調査の結果判明した。すでに所蔵機関から公刊許可を得て,テキスト校訂と歴史学的な分析を開始している。 なお,同機関に所蔵される他の種類の社会経済文書類についても,現地研究者と共同調査を進めるための合意に達した。 さらに,京都大学羽田記念館に所蔵される中央アジア出土文献の写真複製資料,(財)東洋文庫が将来したロシア所蔵ウイグル語文献マイクロフィルム資料を網羅的に調査した。 これらの調査活動で得られた知見の一部を,次々項に掲げる研究論文として公表している。
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