1.韓国の大学博物館、国立博物館、文化財研究所等で刊行されている三国時代前期の古墳に関する発掘調査報告書をもとに、新羅・加耶古墳のデータを収集した。データ収集は3世紀後葉から4世紀までの木槨墓、竪穴式石槨墓について行い、地域的には最も調査が進んでいる慶尚南・北道が中心となっている。全体の約60%が終了しており、来年度は百済古墳のデータ収集を行う予定である。 2.収集した墳墓資料については、すべてデータベース化を行っている。データベースの項目としては、所在地、調査年、墳丘(形状、規模)、埋葬主体部(型式、規模、主軸方向、頭位、構造)、築造年代、副葬品配置、副葬品種類(装身具、鏡、武器・武具、車馬具、農工具、漆器、金属容器、土器)、参考文献等を抽出し、データベース・ソフトへの入力を進めている。また、図面・写真等に関しては、墳墓ごとにカード化して、整理を行っている。現在、これらの作業については全体の約40%が終了している。 3.データベース化した資料を検討し、加耶前期古墳の編年作業を行った。その結果、3世紀後葉、4世紀前葉、4世紀中葉、4世紀後葉〜5世紀初頭の四時期に編年できることが明らかとなった。また、これらと合わせて加耶古墳の武器組成、および倭系遺物について検討し、それぞれ「嶺南地域の武器組成」(『古代武器研究』Vol.4)、および「韓国の倭系遺物」(『国立歴史民俗博物館研究報告』第110集)として発表した。
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