今年度の研究計画は、1.東周墓葬のデータベース作成と、2.晋国地域における東周墓葬の分析を進めることであった。 1.このうち、東周墓葬データベース作成については、中国で刊行されている主要な雑誌についての抽出作業がほぼ終了したが、データの入力作業は抽出したデータの2/3程度が終了したところである。その中で、楚地域に関しては今年に入って、続々と報告書の刊行が相次いでおり、期待していない地域での資料の増加・充実が図られることとなった。来年度は引き続き抽出したデータの入力を進めてデータベースの完成に近づけるとともに、中国各地域で刊行されている考古学雑誌にまで、対象を広げて東周墓葬の抽出作業を進めていくこととする。 2.晋国地域における東周墓葬の分析については春秋後期〜戦国中期にかけて、特色ある副葬品を有する墓(木槨墓)を中心に墓構造を整理し、編年を組み立てた。当初、晋地域に関してまとまった資料数が期待されたが、実際に分析を進めていくと、対象とする時期よりも遡るものが多いことが判明した。もともと南方の呉・楚地域と比較できる資料数の揃った地域の設定が、今後の分析に有意義であると考えられたため、対象地域を広げて、三晋地域と〓国の版図までを含めて分析を進めることとした。 以上のように、今年度は資料集成に重点を置いた研究を進めるとともに、来年度に向けての方向性を再確認することができた。
|