(1)5月に研究成果の一部が論文「身体を獲得する芸能、芸能に幻/現出する自画像」(伊藤守(編)『文化の実践、文化の研究:増殖するカルチュラル・スタディーズ』所収)として出版された。 (2)7月に琉球大学で行われた文化研究の国際会議「カルチュラル・タイフーン2005」で、分科会「ミュージアム化・テーマパーク化する生活文化/空間」をコーディネートし、米国シカゴ学派の影響をうけた日本研究者ジェラルド・フィガル氏や長浜市の歴史遺産を通じた活性化を研究する矢部卓也氏らとパネルを組み、研究発表および討論を行った。 (3)「おわら風の盆」の現状をパフォーマンスと運営のふたつの側面から明らかにするために、昨年度と同様「おわら風の盆」開催時期にあわせた現地調査を行った。新興の芸能グループに対する反応、町民と町外の文化人との交流に関して新たな知見を得た。 (4)ローカルな文化活動の様相を歴史的に明らかにするために、八尾町おわら資料館の所蔵調査を行った。八尾町教育委員会、富山県民謡おわら保存会、八尾町おわら資料館の協力を得ることができた。新規に関係者から提供された史料および未整理の史料200点あまりを対象におこなったものだが、新史料の発見を含め、非常に実りのある調査となった。すでに整理・目録化がすんだ史料についても一部複写、撮影を行い、分析を行った。 (5)本研究が対象とする文化現象・実践をより広い文脈や問題構成に位置づけるため、文化理論をはじめ、表象研究、映画研究、メディア研究、文化人類学、民俗学、民族誌など関連分野の文献を渉猟した。また同様の目的で、3月に英国ブライトンで行われた国際会議"Globalisation and Representation"に参加し、ローカルな文化とグローバルな力がどのように拮抗しているか、また9.11事件後の世界情勢のなかでローカルなるものをどのように再概念化するべきかについての検討を行った。
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