|
本研究は、有珠山をとりまく地域のアイヌ社会、および本州からの移住者社会のなかで得られた民俗学的情報を地域ごと、時代ごとに整理、比較分析し、人々の文化的営みのなかに表象される過去の災害像、有珠山周辺地域の環境像を明らかにし、さらにその新たな知見をこれまでの自然科学、社会科学の側からの災害研究と照合し、矛盾点を発見・整理することにより、有珠山噴火災害をめぐる地域環境史の構築にむけての方法論・見通しを示すものである。平成16年度は、以下の活動を行った。
1、1663年から2000年にかけての有珠山噴火関係文書資料、有珠山噴火関係報告書、著書、論文、およびそれらの要旨のデータベース化を継続した。
2、福島県磐梯山の過去の噴火と会津地方の生活史との関係についての調査を行い、有珠山を理解するための比較分析の対象として、整理した。
3、鹿児島県桜島周辺地域の災害展示施設の調査および現地住民からの聞き取り調査、過去の噴火災害を表象させる民俗事例の調査を行い、有珠山を理解するための比較分析の対象として、整理した。
4、昨年度に行った有珠山周辺地域、および比較地域としての長崎県島原半島での調査データを整理、分析し、活火山をとりまく地域環境史の構築にむけて、民俗学的調査を行うことの意義と方法論をまとめ、報告した。
平成16年度の調査により得られたデータは、今年度の学会および学術出版物などにおいて発表すべく、現在準備を進めているところである。
|
