研究概要 |
(1)10月23日〜11月3日の間、山東大学法学院、山東省高級人民法院、山東省律師協会(以上山東省)、中国人民大学法学院、中国法官学院、中国検察官学院、君合律師事務所(以上北京市)において、中国における量刑基準にかんする現地調査を実施した。当初、本年度は、夏期休暇期間を利用して、台湾において量刑基準にかんする現地調査を実施する予定であったが、いわゆるSARSの影響により、実施を見送らざるを得なくなり、その結果、中国における短期の現地調査の実施に変更せざるを得なかった。なお、SARSの影響は中国においても相当強く残っており、昨年前半に設定されていた予定が軒並みキャンセルとなり、それらの多くが後半に実施されたことから、調査を受け入れる機関が非常に多忙な状況となってしまい、調査期間を大幅に短縮せざるを得なかった。くわえて、中国における政治的な問題から、今回訪問した「公的」機関においては、死刑そのものの突っ込んだ調査を実施することは困難であったが、刑事裁判における量刑基準について、多くの有益な情報を得ることができた。 (2)研究代表者がこれまでに収集してきた裁判例のうち、公式裁判例集である『人民法院案例選』および『最高人民法院公報』所掲の裁判例を中心とした調査を行った。これらは1990年以降の裁判例であるが、これまでに約50例の死刑判決を確認している。 (3)インターネットを利用した、中国における死刑判決の収集を行った。主に法制日報WEB版をはじめとする新聞記事を中心に調査しているが、これまで約5,000件Hitしたため、現時点では未だ完了していない。Hit件数は多いが、相当数の重複があるため、実数は100件にも及ばない模様である。その多くは殺人、強盗殺人および贈収賄事件である。
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