本年度も、引き続き、基本的資料の収集・読解に重点を置いた。初年度の報告書でも述べたように、この作業については、短期聞で明確な成果を生むことを期待するよりも、精密にテキストを読み進む作業を続けるほかないと考えられる。また、初年度からの継続的作業として、国際政治学・国際関係論、さらには哲学・政治思想の観点から「世界帝国」を扱った文献の読解も試みた。 「事実上の国際政府」概念は、ヨーロッパ協調に起源を持ち、ウィーン会議(1814-1815)、パリ会議(1856)、ベルリン会議(1878)などの会議外交を経て、第一次世界大戦・第二次世界大戦の戦後処理過程においてより明確に現れることとなった。とりわけ、このような実行についてある程度の理論化が図られたのは第一次世界大戦・第二次世界大戦の戦後処理の過程においてであるため、第二次世界大戦の戦後処理過程の分析は重要である。この点、本年度は、2ヵ月の短期在外研究の機会を得たため、フランス外務省外交史料館において、第二次世界大戦の戦後処理過程において「大国」が果たした役割について、大量の一次史料を渉猟する機会を得ることができた。 これら研究の成果は、残念ながら最終年度である今年度内に発表することはできなかった。しかし、来年度の前半にはある程度まとまった形でフランス語で発表する論考に本研究の成果を示すことにしており、現在、フランス語の校閲と校正の過程にある。
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