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2003 年度 実績報告書

被疑者取調べ適正化の方策(取調べ準則制定の可能性)

研究課題

研究課題/領域番号 15730032
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 隆之  東北大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (30242069)

キーワード被疑者の取調べ / 黙秘権
研究概要

被疑者取調べを適正化する具体的方策に関して、本年度(平成15年度)の研究により、次のような知見を得ることができた。
被疑者取調べ(ないし自白の排除法則)に関する資料(判例および学説)を入手、検詩することを通じて、従来、被疑者取調べの限界が、(1)在宅被疑者の場合には、主として、任意同行の方法(宿泊を伴う場合には)捜査機関による監視などの要因から、当該被疑者が身柄を拘束されたのと同様の状態にあったといえるか、を基準に判断されていること、他方、(2)身柄拘束中の被疑者の場合には、身柄拘束状態にあることが直ちに供述強要的な効果を持つとはされず、例えば、(i)別件逮捕・勾留により、身柄拘束自体が違法とされるか否か、(ii)余罪取調べの限界を超えたか否か、(iii)自白の任意性が認められるか否か、など、黙秘権の侵害が直接問題とされるのではなく、違法な身柄拘束の結果として、あるいは、自白の任意性が否定される結果として、取調べの違法が導かれていることを確認できた。
このように、被疑者の権利・利益の侵害の有無が正面から問題とされていないのは、被疑者の心理状態や彼(彼女)の置かれた環境を個別的に判断することが困難であるためと思われるが、この点は、次年度に予定する、本格的な比較法的検討(取調べ状況の記録が制度化されている国々の実情の検討)の必要性を基礎づける知見だといえる。
これに加えて、本年度は、複数の実務家(裁判官、検察官)から、取調べの実際につき、有益な情報および意見を得ることができた。特に、咋年、11月藤宗和香東京高検検事ほか2名の実務家を学部演習に招いて、任意取調ベの限界に関する裁判例(東京高判平成14年9月4日)について検討・意見交換できたことは、在宅被疑者の取調べの実態を理解する上で、非常に有意義であった。また、藤宗検事とはその後も月に一、二回程度意見交換を継続しており、その過程で、身柄拘束中の被疑者の取調べ適否を判断する上で、被疑者の取調べ受忍義務をめぐる問題の検討が不可避であることも自覚できた。この点も実務家との意見交換の成果といえる。

研究成果

(2件)

すべて その他

すべて 文献書誌

  • [文献書誌] 佐藤 隆之: "演習刑事訴訟法(逮捕・勾留中の余罪取調べの適法性)"法学教室. 274. 157 (2003)

  • [文献書誌] 佐藤 隆之: "演習刑事訴訟法(起訴後の余罪捜査と接見指定)"法学教室. 275. 129 (2003)

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公開日: 2005-04-17   更新日: 2016-04-21  

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