本年度の研究活動は、関連資料の収集と論点整理に焦点を当て、基本的な論点整理に関しては情報通信学会大会における発表を行った。 また、海外における情報収集についても、マレーシアその他アジア諸国で実施し、現地研究者との意見交換を行った。マレーシアにおいては、マルチメディア大学サイバー法センターのJawahitha Sarabdeen所長を訪問し、本研究に関する意見交換を行った。3月には米国Yale大学Information Society Project主催の「CyberCrime and Digital Law Enforcement Conference」に参加し、米国を中心とするCyber犯罪に関する議論の焦点について、多くの知見を得られた。 情報通信学会での研究発表は、サイバー犯罪条約及びサイバー攻撃に関する国際法上の論点について、過去の議論を踏まえて現状を報告した。国際法上の論点に関しては基本的な理解が得られたと考えているが、サイバー犯罪条約との関連性については、世界的盗聴網として知られる「エシュロン」との関係など、新たな視点についての指摘を受けた。現在わが国においても、サイバー犯罪条約批准のための法整備を進めており、アップトゥデートされた内容を織り込みながら、成果を学術論文にとりまとめるための研究に取り組んでいる。 また、昨年度3月の米国での知見及びさらにこれに基づいた追加的な情報収集も継続して行う予定である。
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