研究概要 |
本研究課題に関する平成16年度の研究実績は以下のとおりである。 第一に、中国型コーポラティズムのアクターを総体的に把握するため、前年度に続き、民政部門に登記された社会団体を対象に、北京大学市民社会研究中心との共同研究を進めた。その結果、社会団体と主務官庁との人事・財務面での癒着の構造と同時に、メディア等各種社会勢力との連携を強めつつある社会団体の実態が明らかとなった。 第二に、社会主義計画経済の遺制とも言える中国の集団世界の「垂直型」構造を補完するものとして、都市部の住民コミュニティ(社区)の構造について、文献研究および聞き取り調査を行った。特に、水道・電気などのインフラ、福利厚生施設の建設をめぐる、党、行政、建設会社、メインテナンス会社、居民委員会、業主委員会、メディア間の対立・協力関係に焦点をあてた。その成果は、Kazuko Kojima and Ryosei Kokubun ‘The Shequ Construction Programme and the Chinese Communist Party,' (Kjeld Erik Brodsgaard & Zheng Yongnian eds. "Bringing the Party Back in How China is Governed," Eastern Universities Press,2004 Chapter 8)、および平成16年12月11日に行われた「住民自治組織と統治構造」研究会(筑波大学学内特別プロジェクト「比較市民社会・国家・文化」主催)での報告原稿に整理された。 第三に、労働社会保障をめぐる政策決定過程について、中国の労働組合(工会)による権益擁護の実態と、利益集団化に向けた昨今の議論について研究を行った。特に、工会の構成員、人事、財務をめぐる議論に焦点をあて、その成果を平成17年2月11日に行われた「中国コーポラティズム」研究会国際会議(神戸大学)で報告した。
|