本年度は初年度ということもあり、文献資料収集と自治体ヒアリングを中心に行った。後者に関しては、いわゆる法務セクションの担当者だけに限定することなく、自治体において広く法務に関わる仕事の実態を調査するために、他のセクションの担当者からのヒアリング調査も実施した。東京都、神奈川県、川崎市、福岡県、福岡市、北九州市、倉敷市、品川区、佐原市などでの現地ヒアリング調査または出張ヒアリング調査(担当者に大学まで出向いて頂いてのヒアリング)を実施した。(なお、これらの調査対象自治体名に関しては、現時点では相手方からの公表許可を得ていないので、取扱注意事項であり、データベース化する際には、匿名に置き換えて頂くことをお願い致します。)また、内閣法制局経験者へのオーラルヒストリー事業にも参加した。 本年度は、資料収集によって得られた知見の分類整理や、ヒアリング記録の文字化作業に着手した。後者は極めて重要な作業であり、これまで、実務関係者などでは暗黙の前提とされてきたが、しかし、明示的な情報資料として存在してこなかった内容を報告として利用可能にすることで、今後の研究の基盤に資するものと考える。他方で、「オフレコ」的にヒアリングは可能でも、文字化には相当の抵抗感が存在することもまた事実であり、いわゆるネイティブ・チェック(ヒアリング対象者に報告書原稿を読んでもあり、指摘を受けること)においては、相当の折衝事項が発生した。とはいえ、これらのケース報告を蓄積することは、次年度以降の研究においても重要な事項となるであろうことが確認できた。
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