研究概要 |
本年度は基礎的な作業として,文献・資料の調査・収集を中心に行った. またこれまで行った予備的な研究成果をと二回に渡り以下の公開研究会で報告した. 「リージョナリズムとトランスナショナルな市民社会--EUの事例から--」,東京大学比較法政センター第14回比較法政シンポジウム,東京(東京大学),2004年1月.レジュメ 「EUにおける市民社会とガヴァナンス--ヨーロッパ公共空間の共有は可能か?--」,筑波大学比較市民社会・国家・文化特別プロジェクト「地球化時代における新しい価値と公共性の再構築」公開研究会,つくば(筑波大学),2004年3月. これらを通じて専門家によるレヴュー・コメントを受け,次年度以降の分析のための枠組作りに有益な知見を得た. 予備作業の結果,第一にヨーロッパ規模の社会政策の可能性というテーマが,依然EUの課題として重要な地位を占めており,活発な議論が展開されていること,第二に,この中で労資団体の占める役割は少なからぬものが,確認された.これらは本研究のアクチュアリティーを示すものである.ただし,労資参加の枠組は当初の意図どおりに機能している場合もそうでない場合もあり,次年度以降,イシューごと,国ごとの相違にもより留意すべきことも明らかとなった.
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