今年度は、協力ゲームの中でも特に「凸ゲーム」と「準凸ゲーム」に焦点をあて、「準凸ゲーム上ではpopulation monotonicityという公理を満たす配分ルールは実質的に存在しない」という結果を得た。この結果は内田誠吾氏(筑波大学社会科学系技官)との共著の論文"Non-existence of population monotonics solutions on the domain of quasi-convex games"としてまとめ、現在学術ジャーナルに投稿準備中であり、また、7月に開かれる国際学会で報告する予定である。 平成15年8月にはロチェスター大学に約2週間滞在し、その間、同大学のウィリアム・トムソン教授と共同研究を行った。その成果の1部は共著の論文"On properties of division rules lifted by bilateral consistency"としてまとめられ、現在Journal of Mathematical Economicsに投稿中である。 平成16年2月4日から3日間にわたって京都大学数理解析研究所で開かれた短期共同研究「ゲーム理論、数理経済学への離散凸解析の応用」に参加し、"Convex games and quasi-convex-games : some open problems"という題目で、協力ゲームの分野における未解決問題の紹介を行った。この時の報告をまとめた論文「凸ゲームと準凸ゲームに関する未解決問題について」が同研究所発行の『講究録』に掲載される予定である。 平成16年3月3日に早稲田大学で開かれた第27回GLOPEワークショップ「協力ゲーム理論と経済分析」に招かれ"Understanding Young's characterization of the parametric rules for claims problems"という題目で研究報告を行った。
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