研究概要 |
私が行った、平成13、14年度科学研究費(若手研究B)研究「ノンパラメトリックな計量方法による景気変動要因の推定」の研究において、右上がりの供給曲線と右下がりの需要曲線の交点である均衡価格と均衡数量のみが観察されるとき、そして、需要、供給曲線の形状を完全に特定できないとき、観察される均衡価格と均衡数量の変動が、需要サイドと供給サイドのどちらから引き起こされたのかを識別するNonparametricな新しい計量手法を開発した。 平成15,16年度の本研究では、この計量手法を用いて、日本の銀行貸出金利と貸出額のパネルデータを用いて、銀行貸出の変動が、資金供給のシフトによるものなのか、資金需要のシフトによるものなのかを推定し、銀行の貸出経路の存在と重要性を検証する。また、この計量手法を用いて、東アジアの各国・地域の景気変動要因である供給ショックと需要ショックを推定し、そのショックの各国・地域間における相関を調べ、東アジア地域の経済的相互依存関係を明らかにする。 平成15年度はそのために、推計に必要な銀行に関するパネルデータを整備した。そして本研究の一部を、論文"Nonparametric Estimation of Supply and Demand Factors with Applications to Labor and Macro Economics"にまとめ、国際学会Econometric Society Summer Meetings(2003年6月,Evanston, USA)で発表した。また本研究の一部を、論文「東アジア地域における景気変動要因の推定:ノンパラメトリック計量方法による供給ショックと需要シヨックの分析」にまとめ、コンファレンス「東アジアの成長と構造変化」(2004年1月31日、福岡市)で報告した。
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