研究概要 |
1990年代後半より,循環型社会形成推進基本法,容器包装リサイクル法など各種廃棄物のリサイクルに関わる法律が成立し,施行されつつある。廃棄物は生産・消費など全ての経済活動に関わって発生するものであり,これらの法律が持つ経済的インパクトは非常に大きい。しかしながら,リサイクルを促進することに伴うコストの大きさや,それがどのような要因によって左右されるかについては,十分な研究蓄積がない。本研究はこうした状況に鑑み,市町村におけるリサイクルの費用効率性について検討するものである。 本年度においては,近畿圏を中心として官民のリサイクル事業者(松下エコテクノロジーセンター[家電リサイクル],TEPCO川崎リサイクルセンター[PCB使用機器リサイクル],西宮市西部総合処理センター[焼却,破砕選別],豊島廃棄物等処理事業[産廃]など)を対象とした現地調査・ヒアリングを徹底的におこない,費用構造,産業組織に関する情報を蓄積すると同時に,既存データの整理を通じて,次年度における実証分析のための基礎的情報のまとめをおこなった。その結果,一般廃棄物の排出量や処理費用などに関するデータベースを平成5年度から平成12年度分(容器包装廃棄物については平成9年度から平成14年度分)について形成することができた。さらに,費用効率性に関する既存研究のアプローチにはどのようなものがあるか,分析手法のサーベイをおこなった結果,パネルデータを用いたフロンティア費用関数アプローチが,非常に有用であることが分かった。
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