研究課題
今年度の主要な目的は、世界の3地域(アジア地域、ヨーロッパ地域、アメリカ地域)の国際航空ネットワークの構造を概観した上で国際的都市システムを把握すると同時に、国際航空旅客・貨物流動パターンについて分析することであった。そして、世界の主要都市のハブ(拠点)性の現状を解明するために、都市の拠点性/中心性を反映する"都市ダミー変数"を導入したGDP、人口および距離から構成される重力モデルによる分析を行った。特に、アジア地域については、因子分析によって国際航空旅客・貨物流動の結節地域を把握するとともに、累積WLU人キロと累積WLUトンキロという指標から、主要18都市の空港評価も行った。ここでの分析結果からいえることは、まず第1に、1982年度から2000年度までの約20年間にわたる時系列分析の結果、アジア地域内においては、東京と香港、およびシンガポールが国際航空旅客・貨物流動のハブ(拠点)になっていることである。特に、香港とソウルの拠点性の上昇が顕著であった。ヨーロッパ地域では、ロンドン、パリ、フランクフルト、およびアムステルダムの、アメリカ地域では、ニューヨークとマイアミのハブ(拠点)性が顕著であった。そして第2に、因子分析による分析からは、アジア地域における国際航空旅客・貨物流動は、「東京とソウルを中心とした東アジア諸都市間」、「シンガポールとバンコクを中心とした東南アジア-南アジア-オセアニア諸都市間」、そして「香港を中心とした東アジア-東南アジア諸都市間」の3つの結節地域に大きく集約できた。さらに第3に、累積人キロおよび累積トンキロという指標からアジア主要18都市の空港評価を行った結果、地理的優位性、ターミナルデマンド、空港容量、そして空港使用料の観点から、ソウルおよび上海が有利であるという結論を得た。最後に第4には、近年の国際航空貨物の動向として、アジア地域における国際分業が進展した結果、国際航空貨物が顕著に増加していることが明らかになった。その中では、雁行形態的発展、日本企業の垂直的分業と逆輸入、中間財輸出の現状、ならびに国際物流企業の戦略と国際航空貨物輸送ネットワークが詳細に分析された。次年度は、今年度の研究成果をさらに発展させて、アジア地域において我が国が国際交通/物流拠点となるための課題と展望について、継続して分析を進めていく予定である。
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Journal of Air Transport Management Vol.10,No.4
ページ: 239-247
航政研シリーズ(特別号) No.436
ページ: 65-93