研究概要 |
グローバリゼーションと経済のサービス化の進展に伴って、インターネット・携帯電話・通信衛星システムなどという新たなタイプのコミュニケーションネットワークが経済活動に与える影響が議論されることが増えてきている。そうした議論の中で、先進国・発展途上国を問わずに、良質かつ適切な規模のコミュニケーションインフラを確立することの重要性が認識されるようになってきている。 筆者はこれまで、一国内で自然独占状態にあるネットワークサービスプロバイダを導入した独占的競争貿易モデルを構築し、サービスプロバイダの費用構造と貿易パターン(比較優位構造)とがどのような相互依存関係を持つのかを分析してきた。しかし、一国に一社のプロバイダしか存在しないと想定したモデルは、一次接近としては有効であるものの、実際のネットワークサービス部門の状態を描写するのに不適切な側面も多かった。本研究では、従来型のネットワーク産業を想定したモデル分析を継続するとともに、産業組織論の成果を生かしてプロバイダ間競争モデルの構築も進めた。前者については、International Trade Journal, Canadian Journal of Economicsに、後者についてはEconomics Bullitenに論文が掲載された。後者については現在も幾つかの雑誌で査読が進行中である。
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