研究概要 |
本研究の目的は、中国西部放牧地域(主に内モンゴル自治区・新疆ウイグル族自治区・チベット自治区の3地域)における貧困の現状を把握するとともに、経済・社会・生態環境などの多次元から貧困の規定要因を分析し、現地の実情に適合した貧困軽減の開発のあり方を構築することにある。この目的を実現するために、3つの放牧地域に関する文献研究とともに、現地調査が必要不可欠である。 平成16年度に行った主な研究活動は以下のいくつである。(1)平成15年度に引き続き、中国国内の大学などの研究機関、統計局を訪問し、3地域に関する文献・資料を収集した。(2)中国吉林省農業科学院、内モンゴル自治区興安盟畜産業局へ訪問し、現地の研究者たちと研究会を開き、調査地の経済・経営・生態環境について情報を交換した。(3)中国吉林省長春市公主嶺地域および内モンゴルウランホット地域にて、畜産農家に対してインタビューを行った。 その結果、(1)内モンゴル自治区において、村単位の農民・放牧民の収入および支出に関する詳細な統計データは、政府機関により収集・整理されているが、公表しない状況にあると判明した。(2)中国東部に位置する両調査地への現地調査により、同じ畜産地域においても、東部と西部の所得差は極めて大きいことが分かった。 なお、インタビューにより得たデータの一部に基づき、吉林省の畜産農家の生産コストに関する分析を行った。詳しくは、研究報告「Milk Production Cost on a Well-managed Medium Size Dairy Farm in Gongzhuling, Jilin Province, China in 2004」『国際文化研究』(第9号)(2005年3月)に参照する。
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