1.本年度は主に、次年度に行う推計作業の基盤を形成する目的で、日本企業のM&Aに関するデータベース構築作業を行った。具体的には、日本企業のM&Aの事例を各種の資料を下に収集、データベース化を行った。その際には、企業が上場か非上場か、国内企業か外国企業か、企業グループ同士の合併かどうか、M&Aの形態は合併・買収か営業譲渡か、M&Aの発表日はいつか、などの情報をデータとして入力した。このデータベースから、日本企業のM&Aが1999年以降に急増していることが明確となった。 2.サンプル企業のうち、上場企業に関するコーポレート・ガバナンス関係のデータセットを作成した。具体的には、メインバンクの持ち株比率、経営者の株式保有比率、機関投資家の株式保有比率など企業の所有構造のデータを、作成した。さらに、企業内部からのコーポレート・ガバナンスの効果を捉える目的で、取締役会の構造に関するデータベースの作成も行った。 3.日本企業のM&Aに携わっている実務家にインタビューを行い、現在のM&Aの状況について情報収集を行った。コーポレート・ガバナンス面の要因が事業再編の障害になっている点など、来年度の研究の参考になる意見を聞くことができた。 平成16年度はこのデータベースを用いて、日本企業のM&Aを通じた事業再編が具体的にどのように行われているのか、コーポレート・ガバナンスの特性はどのように関連しているのか、といった点について研究を行う。
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